この記事を書いた人 大里康正
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開山1200年の聖地!和歌山県の世界遺産「高野山」で真言密教に触れる旅
記事更新日: 2016-03-10
世界中から観光客が訪れる和歌山県の世界遺産「高野山」は、中国から密教の法灯を受け継いだ宗教界の巨人「空海」が開山した真言密教の聖地です。一大宗教都市と言える高野山では100を超える寺院があり、神聖な雰囲気を残しています。今回は高野山の見どころをご紹介します。
極楽橋から高野山へ
高野山の入口と言える場所が極楽橋です。ここからケーブルカーに乗り高野山に到着します。日本の中で特にこう配のきつい場所として知られ、ケーブルカーは約5分で330mの標高差を移動します。
高野山駅から先は、歩いて移動することができません。多数出ているバスに乗り移動します。
「奥の院(弘法大師御霊廟)」に向かう
観光では奥の院行きのバスに乗り、最終のバス停で下車するとよいでしょう。バス停を下りてすぐ左が「奥の院」となります。
「御廟橋」にて一礼
奥に進むと「御廟橋」があります。この橋まで、弘法大師が参拝者を迎えに来ていると言われ、帰路ではここまで見送りに来ているとされます。参拝者はまず橋の手前で脱帽し、一礼をしましょう。単なる観光地ではないということを意識して下さい。
ここから先は撮影禁止となっています。霊域であり、この奥で空海は今も生き続けているとされ、禅定している場所に毎日、食事と衣服が運ばれるのです。
なお、高野山には歴史上の様々な人物の墓が残されています。親鸞、武田信玄、豊臣秀吉、石田三成等、日本史の有名な人で名前を探せない人はいないという程、たくさんあります。
ミャンマーの仏像がある「成福院」
奥の院から歩いて中心地に進むと、「成福院」に到着します。仏塔は摩尼宝塔(まにほうとう)と呼ばれ、これはビルマ(現ミャンマー)のパゴダを意味しています。元の住職である故・上田天瑞は昭和16年に南伝仏教研究のためにタイに渡ります。そこで戦争がはじまり陸軍委託としてビルマ戦線に従事。一時はビルマ僧となり地域の発展に力を尽くしました。
帰国の際、ビルマ仏教教会から仏像を渡され、これを本尊として、ビルマ戦線での戦没者慰霊のためにこちらのお寺を建立したのです。
内部では様々な物を見学することができます。高野山でミャンマーの仏像を見ることができる珍しい場所ですので、ぜひ立ち寄ってみて下さい。地下に進む回廊もあり、そこでアジア各地でよくみられる涅槃仏を拝観することもできます。
総本山「金剛峯寺」
高野山の金剛峯寺という命名は空海によるものですが、総本山「金剛峯寺」は文禄2年(1593年)に豊臣秀吉により建立されています。その後、文久33年(1863年)に再建され現在の姿として落ち着いたのです。襖絵等は撮影禁止となっていますので気をつけましょう。
日本最大の庭園が「蟠龍庭」です。白い砂は京都から運ばれ、雲海を表しているとされます。雌雄一対の龍は奥殿を護る意味があり、140もの石で構成されています。
新別殿と呼ばれる大広間で、無料のお茶とお菓子を頂き休憩することができますので、観光の合間にとてもありがたい場所です。
美しき「根本大塔」
「根本大塔」は金剛峯寺から歩いて10分程の距離にあります。高野山と言えばこの場所を多くの人がイメージする程、シンボル的存在となっています。真言密教の根本道場として建立されたこちらは多宝塔としては日本初と言われ、内部に四仏が祀られています。あまりにも鮮やかな朱色は、特に目を引く美しさです。
修復を繰り返した「中門」
「中門」の創建は高野山が開山した頃ですが、何度もの焼失にあって来ました。現在の門は平成27年に再建されたものですが、1843年の焼失以来、ようやく本来の姿に戻ったと言えます。
「女人堂」の1000年間
大塔から中心地方向に戻るように進み、左折するとバスで通って来た道に出ることができます。ここから駅方向に進むと、重要文化財である徳川家霊台があり、更に進むと「女人堂」があります。
女人禁制が無くなるまでの1000年間、女性はここから先に進むことができませんでした。この場所で多くの女性が高野山に向かい、祈願したのです。元々は七つあった登山口ですが、女人堂が現存しているのは不動坂口にあるここだけですので、とても貴重なお堂です。
お遍路道を下る
ここから下山するためには女人堂前からバスに乗るか、徒歩での下山となります。実はここから不動坂を約40分かけて下り、極楽橋駅まで出ることができます。この古道は平安時代から続くお遍路道ですので、歩くことで1200年の歴史に思いを向けてみてはいかがでしょうか。
ケーブルカーの様子が良く分かる道も通ります。自然の中を歩いて降ることで、ようやく見ることができる風景です。
最後に
1200年の時空を超えて、今もなお禅定を続ける空海の世界遺産「高野山」は、訪れる人に深い感銘を与え続けることでしょう。これを機会に、高野山に足を運んでみて下さい。
公益社団法人和歌山県観光連盟
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