この記事を書いた人 トリッパー編集部
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魅惑の化粧水温泉と、古代に思いを馳せる旅
記事作成日: 2016-03-18
《美肌の湯》
出雲の神々も入浴?「神の湯」玉造温泉
島根県宍道湖南岸から2kmほど玉湯川を遡った山あいに、女性から絶大な支持を得ている温泉があります。美肌をうたう温泉は、全国各地に数あれど、この温泉の美肌力はお墨付き、まるで化粧水のような泉質と言われています。古くは『出雲国風土記』に登場します。「一度入浴すればお肌が若返るようになり、二度入浴すればどんな病も治癒してしまう。いにしえから今に至るまでその効能が効かなかった事は聞いたことがないので、人々は神の湯と呼んでいる」(現代語訳、松江観光協会玉造温泉支部HP抜粋)733年に編纂された『出雲国風土記』ですが、「いにしえから今に至るまで」とあります。733年よりさらに古くからとは、玉造温泉には、古代から湧き続ける絶え間ない贈りものがあるのです。化粧水温泉とうたわれる玉造温泉ですが、肌や病に良いとされていることに目をつけた製薬会社が、玉造の湯から製造した化粧水は、口コミで人気が広がっているそうです。特に保湿力がすばらしいとか。
《お顔にも温泉の恵みを!「美肌温泉フェイスパックタオル」(目と鼻に穴)玉造温泉旅館組合加盟の旅館にて販売》
《おしろい地蔵さま 清巌寺》
お寺で見つけた美肌スポット「おしろい地蔵さま」
1600年以前よりある清巌寺の境内に鎮座する「おしろい地蔵さま」は、知る人ぞ知る美肌スポットです。美肌温泉に入り、さらにお地蔵さまからもパワーをもらいましょう。
そのユニークな美肌祈願の方法は、顔用・からだ用どちらかの祈願のお札を購入します。それぞれ顔のかたち、身体のかたちが記されており、自分の気になる部分を色えんぴつ(備え付け)で塗り、納めます。そこで、すでに真っ白になっているお地蔵さまに、備え付けられたおしろいを筆で自分の気になる部分に塗るのです。昔、あざに悩んだ和尚さんがお地蔵さまの顔におしろいを塗ったところ、きれいに消えたことから言い伝えられている祈願の方法だそうです。
《願い石 玉作湯神社》
玉造は勾玉の里、古代の職人が集ったと云われる
「おしろい地蔵さま」の清巌寺から、200mほどのところにある、玉作湯神社は「願い石」で有名です。玉作信仰が盛んだったこの地域にいつしか現れた丸い石。御神体として神社に奉納したといわれています。この「願い石」にそっと触れながら願い事をすると叶うのだとか。現在は小さな叶い石を購入し、この「願い石」のパワーを授かり持ち帰ることができます。玉造は、良質なめのうが採れたため、この地に勾玉(まがたま)作り職人が集っていたそうです。この地の周辺では古代玉作りの工房跡や遺物が数多く発見され、古くから勾玉・管玉作りをしていたことをうかがわせます。勾玉といえば『古事記』『日本書紀』にも記されている三種の神器のひとつです。こんなところにも古代からの贈りものを感じます。
温泉街そばの出雲玉作史跡公園には、古墳時代からの石作り、勾玉作りの歴史を紹介する「出雲玉作資料館」があります。また、周辺には、勾玉作りを体験できる施設もあり、世界に一つだけの勾玉を作ることができます。はるか昔から湧き続ける美肌温泉につかり、そっと願い事をし、いにしえからの厳かな空気に触れる旅をしてはいかがですか。